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こがねっとぶろぐvol.7-① 第14回市民公開セミナー『もしも認知症になったら』レポート
2016年2月18日(木曜日)
テーマ:市民公開医療セミナー
古賀病院グループでは、多くの地域住民の皆さんに当グループの医療と介護の取り組みを知っていただき、医師をはじめとしたスタッフとの交流を深めていただくことを目的に、2012年より『市民公開セミナー』を開催しています。
大変遅くなりましたが、第14回市民公開セミナー『もしも認知症になったら』のレポートをお届けします。
第14回目となる今回は『もしも認知症になったら』をテーマに実施しました。詳しい講演内容を、これから6回に分けてお送りいたします。参加できなかった方も、ぜひ参考にしてくださいね。
『知っておきたい、認知症になる前に』
こがケアアベニュー 事務長代行(当時)・末次輝さん
≪2025年問題≫
現在、75歳以上の高齢者は約1700万人おり、2025年には約2200万人にまで増えると予測されています。2025年以降、75歳以上の高齢者数は横ばいになりますが、総人口は減っていくと推察されます。つまり、総人口中75歳以上が占める割合が増えてくるのです。現在介護保険を利用している認知症高齢者は約280万人ですが、2025年には470万人にまで膨れ上がると予想されています。
≪認知症の症状≫
記憶障害や見当織障害(※1)、実行機能障害(※2)といった中核症状。その中核症状がもとになり、本人の性格や素質、周囲の環境や人間関係などが影響して出現する症状を行動・心理症状(BPSD)があります。行動・心理症状(BPSD)は不安・焦燥・うつ状態・幻覚・妄想・興奮・暴力などの症状が表れることがあり、治る可能性のある症状とされています。
※1見当織障害…今日が何月何日なのか、今、自分がいる場所はどこなのかといった自分が置かれている状況を正確に認識できないこと。
※実行機能障害…頭の中で計画を立てたり、予想外なことが起こっても適切に対応したりできなくなること。例えば、健康な人はスーパーで豆腐を見て味噌汁を作ろうと思ったら「わかめは家にあるから一緒に入れよう」と考え、買い物をする。しかし実行機能障害が起こると、家にわかめがあることを忘れているので、わかめも豆腐も買ってきてしまう。夕食の準備をし出したら、買ってきたわかめと豆腐の存在も忘れて、冷蔵庫を開けて目に入った食材で味噌汁を作るといったことが起こる。
●加齢による物忘れ●
経験したことが部分的に思い出せない
目の前の人の名前が思い出せない
物の置き場所を思い出せないことがある
何を食べたか思い出せない
約束をうっかり忘れてしまった
物覚えが悪くなったように感じる
曜日や日付を間違えることがある
●認知症の記憶障害●
経験したこと全体を忘れている
目の前の人が誰なのか分からない
置き忘れ、紛失が頻繁になる
食べたこと時代忘れている
約束したこと自体を忘れている
数分前の記憶が残らない
月や季節を間違えることがある
≪認知症の人の気持ち≫
「娘が結婚してうれしい」「夫(妻)と喧嘩してイライラする」といった経験から生まれた感情は、認知症になると「うれしい」「イライラする」「泣きたい」「楽しかった」という感情のみ残り、何が嬉しかったのか、何がイライラしたのか忘れてしまいます。宮ノ陣にある『こがケアアベニュー宮の陣』をご入居中の83歳・要介護1の女性が、コスモス見学に行って戻ってきたとき、
「今日はどうでした?」
と尋ねると、
「楽しかった。よく覚えてないけど、楽しかったのは覚えてる」
とおっしゃったそうです。
≪認知症の方と接するためのポイント≫
①目を見ましょう
→見下ろされると支配されていると感じてしまいます。
②ゆっくりと話しかけましょう
→急ぐのは苦手です。
③優しく触れましょう
→小さく、強く、速い触り方はネガティヴな触り方です。優しく、広く、ゆっくりと触りましょう。信頼が生まれますよ。
≪認知症を予防するために≫
脳の活性化を図りましょう!
①笑いましょう
②社会と接触しましょう
③役割・日課を持ちましょう
④ほめましょう・ほめられましょう
→ほめてもほめられても脳が活性化されます。
次回は『訪問看護ステーションわかくさ』の後藤めぐみさんの講演内容をお届けします。
セミナーレポートをPDFでご覧いただけたり、過去にどんなセミナーを開催したのかご覧いただけるアーカイブを現在、制作中です。完成しましたら、こちらのレポートも改めてご紹介いたします。
3月5日(土)には、第15回市民公開セミナー『”身体のいたみ 心のいたみを和らげる緩和ケア”がん患者さんとその家族を支える医療』を新古賀病院 5階記念講堂で13時から開催いたします。
広報部:オカモト