ガンマナイフセンター

ガンマナイフセンター

ガンマナイフセンターでは、脳腫瘍などの頭部病巣を開頭手術せずに短期間で治療できる、ガンマナイフによる脳神経外科治療を行っています。新古賀病院では1998年にガンマナイフを導入し、2023年までの25年間で5900例を超える治療実績があります。

ガンマナイフとは

脳腫瘍や脳血管障害などの病巣のみに
放射線を高精度に集中させて照射することができる装置です

ガンマナイフ

開頭手術よりも身体の負担が少ない非侵襲的治療であり、また従来行われてきたリニアック(放射線治療機)による全脳照射などと異なり複数回の治療が可能で、治療も短期間(約1日)で終了します。

また、手術を施行できない部位(脳幹部など)の病巣や、手術により摘出不能だった残存腫瘍、全身状態や高齢などの理由で手術適応にならない症例などに対しても、治療を行うことができます。

ガンマナイフの原理

ガンマナイフの原理

半円状に配置された192個のコバルトより放射される放射線(ガンマ線)が、コリメータを通り抜けて細いビームとなりコリメータヘルメットの中心に集束します(コリメータの大きさは、16mm、8mm、4mmと3種類あり、病巣の形状や大きさによってコリメータヘルメットを使い分けます)。

頭部に固定されたフレームを用い、X,Y,Z軸座標を定めることで頭蓋内の病巣がコリメータヘルメットの中心に一致するように固定して、治療を行います。よって病巣に対し、非常に小さい照射野で大線量の照射ができる放射線治療装置です。

一つ一つのガンマ線の量は微少であるため、周囲の正常な脳組織や皮膚への影響はわずかになります。

ガンマナイフ

当院で導入しているガンマナイフ装置の特徴は下記のとおりです。

特徴

  • 治療時間の短縮:ガンマナイフの治療は、コバルトから放射されたガンマ線が頭部に装着したコリメータヘルメットの穴を通り抜けて、病巣部に集中照射します。これまでは穴の大きさの違う4種類のコリメータヘルメットを、病巣の形状や大きさによって治療中に何度も交換して照射を行っていましたが、ガンマナイフでは装置本体が3種類の大きさの穴のコリメータを備えており、コリメータサイズの変更や位置合わせが自動で行われるため、治療時間が以前の装置よりも大幅に短縮できます。
  • 患者さんの負担軽減:これまでは正確に病巣を照射するため、治療中に頭部を動かす必要がありましたが、ガンマナイフはベッドごと治療位置まで頭を動かすため、患者さんの負担を軽減できます。
  • 治療領域の拡大:ガンマナイフ装置の環状の部分(ガントリー)の内腔が大きくなったため照射範囲が広くなり、従来のガンマナイフ装置では治療が難しかった頭蓋底深部・頭蓋頸椎移行部・頭蓋外側部も含め、頭蓋内のほとんどの部位の治療ができます。
  • 治療精度の向上:ひとつのコリメータヘルメットで3種類の大きさの穴から照射ができるため、以前の装置よりも、複雑な形状の病変の形に合わせた放射線照射を、短時間で行えるようになりました。
     

デメリット

頭部以外の病巣には対応できません。

治療の対象となる疾患

脳血管障害 AVM(脳動静脈奇形)・AVF(脳動静脈瘻)など
脳腫瘍 神経鞘腫(前庭神経鞘腫[聴神経腫瘍]・三叉神経鞘腫など)・髄膜腫・下垂体腺腫・頭蓋咽頭腫・転移性脳腫瘍・グリオーマ(神経膠腫)・悪性リンパ腫など
機能的疾患 三叉神経痛など

ガンマナイフ

新古賀病院ガンマナイフ治療症例

1998年7月2日~2023年9月:5,900例

治療の適応範囲

  • 大きさが直径3cm以下の病巣に対して、効果が期待できます。
  • 病巣の大きさなどの理由でガンマナイフ治療の適応にならない場合でも、他の治療法との組み合わせでガンマナイフ治療が可能になる場合もあります。
  • 病巣が存在する場所などの理由でガンマナイフ治療ができない場合でも、当施設で手術や血管内治療が可能です。また、当院の同グループ病院の古賀病院21放射線治療センターで、トモセラピーやリニアックという装置で治療を行う事もできます。

  • ガンマナイフの治療適応を外来診察で判断させていただく場合もあります。
  • ガンマナイフの外来診察を新古賀病院にて月・水・金の午後に行っています。
  • ご質問または外来診察を希望される場合には、ガンマナイフセンターまでお問い合わせください。

入院期間

2泊3日 (入院期間は、疾患または治療内容等によって異なる場合があります)

1日目
  • 入院
  • 治療説明等
  • 全身状態のチェック(胸部単純撮影、頭蓋単純撮影、採血、心電図など)
2日目
  • ガンマナイフ治療
    • フレーム装着
    • 位置決め検査(MRI)
      • 疾患によって、CTまたは脳血管造影を行います。
    • 治療計画
    • 治療
    • フレーム除去
3日目
  • 退院
 
  • 今後の説明(フォローアップなど)

治療費用

2泊3日の場合 (保険適応時)

ガンマナイフ治療費は、治療費+お食事代+お薬代になります。

対象者 金額
70歳未満の通常の方 (3割負担)
  • 高額医療の対象となりますので、限度額認定書の交付を受けてから治療されると、負担額が軽減できます。
    ご不明な点は、ガンマナイフセンターまでお問い合わせください。
約20万円
高齢者受給者証・後期高齢保険【1割負担・2割負担】の方 約6万円
高齢者受給者証・後期高齢保険【3割負担】の方 約20万円

個室を利用される方

  • 個室料は2泊3日で30,000円(税別)(1日につき10,000円(税別))となります。
    ※ただし午前11時までに退院されますと、3日目の個室料が5,000円(税別)となり、合計25,000円(税別)になります。
  • 個室料は医療費とは別に請求させていただきます。
  • 個室料は高額医療の対象とはなりません。

スタッフの構成

スタッフは、医師(脳神経外科医)・看護師・診療放射線技師で行っています。

ガンマナイフ治療におけるスタッフの主な役割

  • 医師(脳神経外科医)
    フレームの装着、治療計画、治療後のフレームの除去など
  • 看護師
    フレームの装着と除去及び治療時の看護(状態観察)や介助など
  • 診療放射線技師
    フレームの装着と除去の介助、位置決め検査(MRIなど)の撮影及び転送、治療時のポジショニング、照射、照射(治療)データの管理など

治療の流れ

  • 1フレームの装着(所要時間:30分)

    フレームの装着

    フレームを頭部4ヶ所にスクリューで固定します。固定は局所麻酔下に行いますので痛みは軽度です。

    矢印

  • 2位置決め検査(所要時間:30分)

    位置決め検査

    MRI・CT・脳血管撮影などを行い、病変部位の正確な位置を同定します。

    • 検査内容によっては時間がかかる場合があります。

    矢印

  • 3治療計画(所要時間:約1~2時間)

    治療計画

    MRI・CT・脳血管撮影装置から治療計画用コンピュータにデータを転送し、治療計画を行います。

    矢印

  • 4治療(所要時間:平均約2~3時間)

    治療

    ガンマナイフ治療室にて治療を行います。
    治療は、頭部の角度、位置などを微妙に変えながら治療を進めていきます。

    • 治療時間は、形状・大きさ・個数によって異なり、30分で終了する方もいれば5時間以上要する方もいらっしゃいます。

    治療

    モニタで治療の様子を見守っています。
    治療中は、備え付けのマイクにより操作室側との会話が可能です。

    また、治療の間で水分を摂取したりトイレに行く事ができます。

    矢印

  • 5フレームの除去(所要時間 :約10分)

    治療終了後、フレームを頭部から取り外します。
    傷口を消毒し、お部屋へ帰ります。
    特に安静を要する事はありません。

ガンマナイフセンターの受診について

ご質問または外来診察を希望される場合には、ガンマナイフセンターまでお問い合わせください。

新古賀病院 ガンマナイフセンター
0942-38-2230(直通)0942-38-2229
電話受付時間:月~土(日祝日除く) 8:30~17:00
※ガンマナイフ担当事務が対応します
gammakhp@tenjinkai.or.jp
〒830-8577 福岡県久留米市天神町120番地