社会福祉士として患者さんやご家族の悩みに寄り添�た支援を�患者さんのその後を見据え理学療法士として適切なリハビリを� 「手足に麻痺がでて体が動かなく 脳神経外科の患者さんは、治療だけで完結せずリハビリがセットとなっている方がほとんどです。身体の機能が低下した状態になりますので、今後について漠然とした不安を抱えている方が多く、特に高齢の患者さんのご家族は介護のことも心配されます。なったため、自分たちだけで介護できるか不安」というご家族には介護保険の話をしますし、「入院が長く続くと医療費が心配」というご家族には高額医療費制度の仕組みをご説明しています。また、患者さんの状態や課題は、お一人おひとり異なりますので、相談内容は多岐に渡ります。少しでも安心していただけるよう、ご本人の意思を大切にしながら、ご家族とすり合わせを行っています。 社会福祉士として患者さんやご家族の悩みに寄り添い支援するためには、知識だけでなく情報も大切です。そのため、日ごろ患者さんと接しているスタッフからの情報は貴重なものです。看護師には患者さんの現状、医療ケアや食事の介助など入院生活における看護の状況を確認します。リハビリスタッフには患者さんの身体的情報や今後リハビリをするにあたっての回復の見込みなど。時には管理栄養士や薬剤師にも情報を共有してもらっています。 患者さんとご家族が退院後も必要なサポートを受けるためには、現状だけでなく先を見越した支援が大切です。その後の生活を考えながらサポートを行っていますので、気になることがあれば気兼ねなくご相談いただきたいと思っています。 脳神経外科リハビリテーションとしてまず行うのが、離床(ベッドから起き上がること)です。早期離床は筋力の低下を防ぐだけでなく、誤嚥性肺炎など術後の肺炎予防にもつながります。その後のリハビリの基礎ともなるため、手術の翌日にはリハビリを開始し、患者さんが寝たままでいる時間を減らすよう努めています。患者さんによっては寝返りをうつことも困難な方がいらっしゃいますので、生活に必要な最低限の動作からサポートを行っています。 入院前は当たり前にできていた動作が急にできなくなってしまったという状況に、気持ちがついていけずナーバスになってしまう方もいらっしゃいます。患者さんが前向きにリハビリを頑張ってくださるよう、肯定的な声掛けを心掛けています。私たちは「立つ」「歩く」といった動作を目的のために何気なく行いますが、リハビリのためだけの目的を伴わないこれらの動作は、患者さんにとって苦痛ではないかと考えています。患者さんがお手洗いなどで動こうと思われたタイミングで、車いすに移乗しリハビリを行うなど、目的を添えることでやる気を出せるよう工夫しています。 当院は急性期の治療を行う病院ですので、入院は10日前後と限られています。退院後は自宅に帰られるのか、リハビリテーション病院に転院するのか、患者さんの今後の生活を見据え、最適なリハビリを行えるよう取り組んでいます。理学療法士の知識や技術を活かして、患者さんの生活機能の改善という成果に繫げていきたいと思います。❽中野繁広(なかの しげひろ) ■新古賀病院 / 地域医療連携室 社会福祉士黒木 遥(くろぎ はるか) ■新古賀病院 / リハビリテーション課 理学療法士
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