患者さんが﹁元気﹂になるためには�チ�ムでのサポ�トが欠かせません� 脳卒中(脳梗塞・脳出血など)の治療は、専門的治療、リハビリテーションと全身管理の三本柱で成り立っています。手術や血管内治療などの専門的治療だけでは「病気」が治ったかに見えても、患者さんは「元気」にはなりません。 脳神経外科において入院期間が延びる一番の原因に、誤嚥性肺炎の合併があります。誤嚥性肺炎とは、本来であれば食道を通る食べ物や唾液が気管に漏れ入ってしまうことにより起こります。また、病気によるストレスで免疫力(抵抗力)が低下すると、発症しやすくなります。そこで私たちは、免疫力が落ちにくくなる「栄養管理」や、口の中をきれいな環境にする「口腔ケア」に力を入れてきました。この取り組みにより誤嚥性肺炎の発生を大幅に減らすことができました。このように、患者さんが一日も早く「元気」になって退院できるように、私たち脳神経外科医だけでなく、看護師、リハビリスタッフ、管理栄養士、薬剤師がチームを組んで全身管理のサポートを行っています。 脳卒中の症状には、手足の麻痺、言語障害や飲み込み(嚥下)障害などがあります。入院中に機能回復訓練(リハビリテーション)を行いますが、症状が完全に良くならない場合には、次のリハビリテーション専門の病院に移って訓練を継続します。患者さんの入院中の大切な情報は、専門的治療、看護、リハビリ、栄養管理、薬剤など項目別にわかりやすくまとめ、次の転院先の病院にスムーズに引き継がれる連携システムをつくっています。 さて、「脳神経外科」と聞くと抵抗を感じる方も多いと思います。しかしながら、インターネット等を見てみても悩むことが多いはずです。「こんな症状で受診してもいいのだろうか」と一人で抱え込まず、まずは相談に来ていただければと思います。「心配の種」は一刻も早く取り除きましょう。血栓❷プロフィール■九州大学医学部 臨床教授■日本脳神経外科学会 専門医■日本脳卒中学会 専門医■日本脳卒中外科学会 指導医■日本神経内視鏡学会 認定医■日本臨床栄養代謝学会 NST専門医■日本頭蓋底外科学会 理事「正しく知る」ということ脳梗塞脳卒中脳出血くも膜下出血「脳神経外科治療に関するお話」1Tsutomu Hitotsumatsu一ツ松 勤(ひとつまつ つとむ) ■新古賀病院 脳神経外科 主任部長 〈脳神経外科〉頭がどうも? 脳の症状 1分でも早い受診行動が
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