膝の悩みで整形外科に来られる患者さんの約9割は、ご高齢の方です。よくある疾患は、変形性膝関節症や半月板損傷です。 変形性膝関節症は、加齢などに伴い膝関節の軟骨がすり減り、関節が変形してゆがむ病気です。軟骨がすり減って下の骨が出てくると痛みが生じます。多くの場合、内側の軟骨がすり減ることで骨が傾き、O脚になります。 人工関節置換手術は、骨を少し削って人工関節の部品を入れる、2時間ほどの手術になります。膝の痛みを軽減し、滑らかな動きへの改善が期待できます。 すり減った軟骨は元には戻せませんが、潤滑材としてヒアルロン酸を注射し、痛みを軽減させることはできます。注射によって生活に支障が出なくなる方は手術をする必要はありません。しかし注射をしても、痛みでやりたいことができない人、働いたり趣味を全力で楽しみたい人には、手術をおすすめすることもあります。 膝の症状を予防するには、まず太らないことです。膝に負担がかかると痛みが出やすくなります。次に、筋肉をつけることです。筋肉が関節を守ってくれます。おすすめはプール歩行です。あまり膝に負担をかけない状態で筋肉を鍛えられます。 80歳を越えると、膝の寿命がやってきます。膝が痛くなければこれができるのに、といった思いを手助けするのが、私の仕事だと思っています。❽「整形外科治療に関するお話」4しく「正知る」ということYuma Sakamoto坂本悠磨(さかもと ゆうま) ■古賀病院21 〈「整形外科センター」整形外科〉患者さんの生活背景をしっかりと考えた上で医療を提供していきたい。患者さんの生活背景をしっかりと考えた上で医療を提供していきたい。プロフィール■日本整形外科学会・専門医徐々に軟骨がすり減り骨と骨が擦れることで痛みが生じます膝に負担をかけないことが症状の予防になります整形外科センターの坂本悠磨先生にお聞きしました。古賀病院21股関節
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